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君がいるからいつだって笑顔でいれる

 ――そんな戯言、


 花音があまり物が無い自分の部屋を掃除していると、よくありがちな展開のように棚の奥からアルバムが出てきた。アルバムといっても、そんなに大きくて分厚いものではなくて、たった一冊の、薄っぺらい、白い表紙のアルバム。小さいころに写真を撮ったという記憶がない花音は小さく首をかしげて、ぺらりとその白い表紙を開いた。
 開いた頁に入っていた写真を見て、銀の瞳を僅かに見開いた。

 ――小さい女の子と、その子より10歳ほど年上のような黒髪の女性。

 ふたりとも楽しそうに笑って、こっちを見ていた。
 たすけて。
 誰でもない、聞きなれすぎた声がする。私の声。こっちを見ないで、そんな風に笑わないで。頭痛がする、早くこれを閉じなきゃと私が私に叫ぶ。あの日の記憶、彼女の背中、鼓膜に届いた声、彼女の願い。――どうか貴女は、

「……いや、」
 ばたん、と薄っぺらいはずの表紙が騒がしい音を出した。そのままバサリと投げ捨てられる。大切なはずの思い出が、とても痛い。花音は膝を抱えて、弱く首を振った。涙を静かに飲み込んだ。

( 笑顔を忘れられたらどんなに楽か。あなたをおいていった私にそんな資格は、 )

小話 | 22:53 | comments(0) | trackbacks(0) |

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